インフレを甘く見ている人

家計管理
まもる
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みさなんこんにちは!ファイナンシャルプランニング技能士(FP)のまもるです。

インフレを甘く見ている人

 私たちの生活に静かに、しかし確実に忍び寄るインフレ。スーパーの値札が少しずつ上がり、お気に入りのチェーン店のメニューが改定され、毎月の光熱費が膨らんでいく。多くの人はこの変化に気づいているはずです。

ですが大体の人は「最近お米や野菜の値段が高くなってる」と言う感想だけで何も対策を講じません。日本は30年デフレによって物価は上がってはいないと思っています。けどそれは間違いです。

インフレとは

インフレとは、お金の価値が下がって、物やサービスの値段が全体的に上がっていく現象です。簡単に言えば、「同じお金で買えるものが少なくなる」のがインフレーションで

  1. 物価の上昇
    インフレが発生すると、商品やサービスの価格が上がります。例えば、昨年100円で買えた商品が、今年は102円になるといった具合です。
  2. お金の価値の低下
    物価が上がると、同じ金額で買える物の量が減少します。つまり、お金の価値が相対的に下がることになります。
デフレとは

デフレとは、インフレの逆で物の価値が下がってお金の価値が上がる。物を安くしないと売れない現象をデフレーションと言います

  1. 物価の低下
    デフレでは、商品やサービスの価格が継続的に下がります。これにより、同じ金額でより多くの物を購入できるようになります。
  2. お金の価値の上昇
    物価が下がると、貨幣の実質的な価値が上がります。つまり、同じ金額でより多くの物を買えるようになるため、消費者にとっては一見良いことのように思えます。
  3. デフレスパイラル
    デフレが続くと、企業の売上が減少し、利益も減少します。これにより企業はコスト削減を迫られ、賃金を下げたり、雇用を減らしたりします。結果として消費がさらに減少し、物価がさらに下がるという悪循環(デフレスパイラル)が生じることがあります。
インフレとデフレの違い

コメンテーターや政治家の方はバブル崩壊(1990年代初頭)から現在あたりまで「失われた30年」と表現するとこがあります。それは経済成長の停滞やデフレの長期化、などを指摘していますが、30年前と現在では物の値段が全く一緒と言うわけではありません。

日本銀行の物価安定の目標は2%です。具体的には、消費者物価指数の前年比で2%の物価上昇率を目指しています。

では日銀は物価上昇2%を達成したらどうなるか考えてみましょう

2%インフレが起きれば貯金での購買力も2%減っていく

日本銀行の目標、物価上昇2%を達成したら我々にどのような影響があるか

  1. 賃金上昇の可能性:
    物価上昇に伴い、賃金も上昇する可能性があります。これは「賃金と物価の好循環」と呼ばれ、経済活性化につながる可能性があります。
  2. 購買力への影響:
    インフレが起きると、同じ金額で買える商品やサービスの量が減少します。これが「購買力の低下」です。
  3. 2%インフレの意味:
    物価が前年比で2%上昇することを指します。つまり、昨年100円で買えたものが今年は102円になるということです。
  4. 債務者にとってのメリット:
    インフレは実質的な債務負担を軽減する効果があります。住宅ローンなどの長期債務を抱える人にとっては有利に働く可能性があります。
  5. 貯金への影響:
    貯金の名目金額(数字上の金額)は変わりませんが、その価値(購買力)が低下します。
  6. 2%の購買力低下:
    2%のインフレが起きると、貯金100万円の購買力は実質的に98万円相当に減少します。
  7. 累積効果:
    この影響は毎年累積します。例えば、5年間2%のインフレが続くと、100万円の購買力は約90.4万円相当まで低下します。
  8. 預金金利との関係:
    預金金利がインフレ率を下回る場合、実質的な資産価値は減少します。例えば、預金金利が0.1%の場合、実質的な価値の低下は年1.9%となります。
  9. 対策の必要性:
    長期的な資産形成を考える上で、インフレによる購買力の低下を考慮し、適切な運用方法を検討することが重要です。
  10. 投資行動の変化:
    インフレに強い資産(株式、不動産など)への投資が増える可能性があります。

この概念を理解することは、個人の資産管理や投資戦略を立てる上で非常に重要です。調査結果によると、投資信託保有者の約74%がこの概念を正しく理解していますが、一般の人々の理解度はさらに低い可能性があります。したがって、このような明確な表現を使用して説明することが、金融リテラシー向上に役立ちます。

デフレ時代でも価格上昇率の一覧

平均給料は上がっていないが、物は上がっている。うまい棒を例に出すと10円から12円に、自動販売機の飲料水も基本100円から140円と価格は上がっています。その他の価格上昇している一部の商品を見てみましょう

  1. カップヌードル
    1994年:155円(税別)
    2024年:236円(税別)
    上昇率:約52.3%
  2. マクドナルドのビッグマック®
    1994年:380円(税込)
    2024年:480円(税込)
    上昇率:約26.3%
  3. 醤油(1リットル)
    1994年頃:250円(推定)
    2024年:450円(推定)
    上昇率:約80%
  4. 牛肉(100g)
    1994年頃:237円
    2023年:901円(全体部位の平均税込)
    上昇率:約280.2%
  5. ほんだし(120g)
    1994年頃:約300円(推定)
    2022年10月:486円
    上昇率:約62%(推定値のため概算)
  6. マヨネーズ(450g)
    1994年頃:約250円(推定)
    2022年10月:475円
    上昇率:約90%(推定値のため概算)
  7. ディズニーランド1デーパスポート(大人)
    1992年:4,800円
    2023年:7,900円~10,900円
    上昇率:約64.6%~127.1%(中間値使用:95.85%)
  8. 東京電力の電気料金(標準家庭、月260kWh使用)
    1994年頃:約7,000円(推定)
    2024年8月:8,874円
    上昇率:約26.8%
  9. ガソリン
    1994年頃:110円/L(推定)
    2024年8月:180円/L(推定)
    上昇率:約63.6%
  10. 自動販売機の飲料水(500mlペットボトル)
    1994年頃:100円(推定)
    2024年:150円(推定)
    上昇率:約50%

これらを平均した上昇%は=77% デフレと言ってもしっかり年2%以上は上がっている物もあります

しかし、不思議なことに、私たちの多くは「このままの給料や所得ではインフレに負けてしまう」という現実を真剣に考えようとしません。なぜでしょうか?

それは、私たちの心理や社会経験、そして経済への理解不足が複雑に絡み合っているからです。長年のデフレ経験による慣れ、「自分は大丈夫」という楽観主義、そして経済の仕組みの複雑さ。これらが相まって、多くの人々はインフレの長期的な影響を過小評価し、必要な対策を講じることを躊躇しています。

しかし、この「見て見ぬふり」は、私たちの将来の経済的安定を脅かす可能性があります。インフレと向き合い、適切な対策を考えることが、今、求められているのです。 

なぜ私たちは少しずつの値上げを気にしないのか?

スーパーの棚に並ぶ商品の価格が、いつの間にか上がっていることに気づいたことはありませんか?しかし、多くの人はこの「少しずつの値上げ」をさほど気にせず、日々の買い物を続けています。

なぜ私たちはこのような小さな変化を軽視してしまうのでしょうか。その背景には、複雑な心理メカニズムが働いています。

1. 「今まで通り」という錯覚

人間の脳は、急激な変化には敏感に反応しますが、緩やかな変化には鈍感です。これは「正常性バイアス」と呼ばれる心理傾向で、少しずつの値上げを「今まで通り」の状況だと錯覚させてしまいます。

2. 慣れの力

徐々に価格が上がっていくと、私たちはその新しい価格に慣れてしまいます。昨日までは高いと感じていた価格が、今日では「普通」になってしまうのです。この「慣れの効果」が、値上げへの感度を鈍らせています。

3. 不安を避ける心理

価格上昇を認めることは、自分の経済状況に不安を感じることにつながります。そのため、無意識のうちに価格上昇を軽視することで、心理的な不快感を避けようとする「認知的不協和の回避」が働きます。

4. 「自分は大丈夫」という楽観主義

多くの人は、自分の状況が平均よりも良いと考える「楽観主義バイアス」を持っています。このため、価格上昇の影響を「他の人の問題」として捉え、自分への影響を過小評価しがちです。

5. 目先の快適さを優先

人間は往々にして近視眼的な思考に陥りやすく、長期的な影響よりも目先の快適さを重視してしまいます。少々の値上げよりも、今欲しいものを買う満足感を優先してしまうのです。

6. デフレ経験の影響

日本の場合、長期のデフレを経験したことで、多くの人々にとってインフレは実感しにくい現象となっています。「物価は上がらない」という固定観念が、値上げへの感度を鈍らせている面もあります。

結論:小さな変化の積み重ねに注意を

これらの心理的要因が複合的に作用し、私たちは少しずつの値上げを軽視したり、無視したりする傾向があります。しかし、小さな変化の積み重ねは、長期的には大きな影響をもたらします。

日々の買い物や支出を意識的に観察し、長期的な視点で家計を管理することが重要です。「気づかないうちに」ではなく、「気づいていても」値上げを受け入れざるを得ない状況に陥らないよう、賢明な消費者になることが求められています。 

これからの日本はインフレに進むのか、デフレに戻るのか

日本の将来のインフレについては、以下のような要因から、緩やかなインフレ傾向が続く可能性が高いと考えられます:

  1. 現在のインフレ要因:
    • ウクライナ紛争の影響による燃料・食料品価格の高騰
    • 円安による輸入コストの上昇
  2. 日本銀行の金融政策:
    • マイナス金利政策とイールドカーブコントロールの終了
    • 2%の物価安定目標の持続的な実現を目指す姿勢
  3. 企業の動向:
    • 賃上げと価格設定行動の積極化が予想される
  4. 期待インフレ率の重要性:
    • 将来の物価上昇に対する人々の期待が実際のインフレ率に影響を与える
  5. 政策対応:
    • デフレ脱却のための金融緩和政策が長期にわたって継続される可能性

ただし、インフレ率の上昇は緩やかなものになると予想されます。日本経済は長期のデフレ期間を経験しており、急激なインフレは望ましくないと考えられています。また、インフレ対策として、以下のような資産運用が注目されています

インフレに対する対抗策

年金は上がらない、所得は増えないではインフレに負けてしまいます。日本銀行の物価上昇率目標は2%です。今現在の貯蓄が1000万円あるから安心している方も10年後には通貨価値は−20%になり、今の1000万円は10年後の価値は800万円になってしまいます

収入や資産を増やす対策をしなければ将来お金に困ることになるかもしれません

  1. 家計の見直し:
    支出を細かく分析し、不要な出費を削減します。優先順位をつけて支出を管理しましょう。
  2. 節約の習慣化:
    食費や光熱費など、日常的な支出を見直し、節約を心がけます。
  3. 収入増加の努力:
    副業やスキルアップによる昇給など、収入を増やす方法を検討します。
  4. 長期的な資産運用:
    インフレに強い資産(株式、不動産、金など)への分散投資を検討します。
  5. 固定金利ローンの活用:
    住宅ローンなどの大きな借入れは、可能な限り固定金利を選択します。
  6. 早めの大型購入:
    必要な大型商品がある場合、価格上昇前の購入を検討します。
  7. 貯蓄の見直し
    預金だけでなく、インフレに強い金融商品も検討します。
  8. 金融リテラシーの向上:
    経済や金融に関する知識を深め、適切な判断ができるようにします。
  9. エネルギー効率の改善:
    省エネ家電の導入や断熱改修など、長期的なコスト削減を図ります。
  10. 物々交換や共有経済の活用:
    地域コミュニティでの物々交換やメルカリでの不用品販売、車などシェアリングサービスの利用を検討します。

これらの行動を組み合わせることで、インフレの影響を軽減し、経済的な安定を図ることができます。ただし、個人の状況に応じて適切な対策を選択することが重要です。

インフレに強い資産とは

緩やかなインフレなら毎年少しの対策で補えそうですが、強いインフレやハイパーインフレが起きた場合には自力の対策が必要になります。代表例を挙げるなら現物資産、つまり不動産や金、プラチナ、外貨建ての資産を持つことです

  1. 株式、投資信託
    • エネルギー資源系(石油、天然ガスなど)
    • 原材料価格の上昇を製品価格に転嫁しやすい業種(鉄鋼、石油精製、製紙、化学、食品加工など)
  2. 不動産
    • 賃料収入が物価上昇に応じて増加する傾向がある
    • 資産価値自体も物価上昇に連動して上がりやすい
  3. 金(ゴールド)
    • 伝統的にインフレヘッジとして考えられている
    • 通貨の価値が下がっても、金自体の価値は維持されやすい
  4. インフレ連動債
    • 物価上昇に連動して利回りが上がる債券(米国財務省物価連動国債や日本の物価連動国債)
  5. コモディティ(原材料)
    • 鉄鉱石、砂糖、米、小麦などの穀物
    • 原油、天然ガスなどのエネルギー資源
    • 金、銀、プラチナなどの貴金属
    • トウモロコシ、大豆などの農産物
  6. REIT(不動産投資信託)
    • 不動産への投資を少額から行える金融商品

以上、代表的なインフレ対策資産ですが、我々一般人が現物で大量の食料やエネルギー、ゴールド(金)を大量に保管は難しいですので証券会社で誰でも購入できるREIT(不動産投資信託)やゴールド、プラチナ。日本以外での外国の通貨や債券、株式を持っておけば対策になる

もしハイパーインフレになった場合は、お金が紙屑になる可能性もあります。例(ジンバブエやベネズエラ、第一次世界大戦後のドイツなど)その場合は「自給自足」つまり物々交換になる可能性が高いので米、野菜、家畜など自分で育てる時代が来るやもしれません

ですが、日本ではパイパーインフレが起きる可能性は0ではないですが極めて確率は低いです。なので通常のインフレでは債券、外国の通貨や外国株(S&P500や楽天VTI)などが現実的かもしれません

では結局何をすればいいのか?

  1. 支出の見直しと節約
    必要不可欠な支出と削減可能な支出を見直し、無駄を省きます。約7割の人が出費を削減していると報告されています。
  2. 収入増加の努力
    可能であれば副業やスキルアップによる昇給を目指します。
  3. インフレに強い資産への投資
    • 株式:特にインフレに強い業種(エネルギー、素材など)の株式
    • 不動産関連:REITなど
    • 金などの貴金属
      約3割の人が株式や株式投資信託への投資を行っているという調査結果があります。
  4. 分散投資
    リスクを分散させるため、複数の資産クラスに投資します
  5. 長期的な視点での投資
    短期的な変動に惑わされず、長期的な視点で投資を行います。
  6. 金融リテラシーの向上
    経済や金融に関する知識を深め、適切な判断ができるようにします。

都会に住んでいる、または資産が乏しい方に、田舎に住んで家畜や農園をするや、現物で金やプラチナなどを用意することは困難なので、「コツコツと資産形成と家計管理」をしておくのがインフレ対策に一番効果的です。ハイパーインフレは日本では確率はかなり低いです。起こる確率がものすごく低い事に心配してもキリがありません

まとめ

結局のところ、毎月の家計管理、資産形成がインフレに対する大切な心構えになります。長期的な視点を持ち、資産の実質価値を意識することです。

参考記事:投資世界への第一歩、インデックス投資

単なる預金だけでなく、適切な資産運用の必要性を認識し、リスクとリターンのバランスを考えながら多様化を図ることが重要です。また、継続的な学習と情報収集を行い、経済環境の変化に柔軟に対応する姿勢を持つことが大切です。

これらの心構えを持って計画的に行動することで、インフレの影響を軽減し、長期的な経済的安定を実現できます。インフレは避けられない経済現象ですが、適切な準備と対策により、その影響を最小限に抑えることが可能です。

以上です。このブログが少しでも参考になって他の記事も読んでくれたら嬉しいです。

このブログを読んでいただけた方には「お金の苦労」がなくなれば良いなと思っています。

では次の記事でお会いしましょう!

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