消費税1%でも食料品は安くならない?「7ポイント減税」を打ち消す値上げの正体

消費税が1%になっても物価上昇で食料品の会計が下がらない可能性を表すアイキャッチ画像 知って得する制度

2027年4月から、対象となる飲食料品の消費税率は8%から1%へ引き下げられる方針です。

7ポイントもの減税です。普通に考えれば、スーパーで買う食料品も大きく安くなるはずです。

ところが私は、実際の会計は期待するほど安くならない可能性が高いと考えています。商品によっては、減税後も現在より高くなっているかもしれません。

理由は単純です。税率が下がる前から、食品そのものの値上げが進んでいるからです。

本体価格が約7%上がれば、8%から1%への減税効果はほぼ消えます。

減税開始後、私たちが目にするのは「7%安くなった値札」ではなく、「値上げ後の本体価格から税金が少し引かれた値札」になる可能性があります。

2026年も食料品の値上げは続いている

2026年7月の食品値上げ2,566品目、平均値上げ率11%を示す図
出典:帝国データバンク「食品主要195社 価格改定動向調査」

帝国データバンクが主要食品メーカー195社を対象に行った調査では、2026年7月の飲食料品値上げは2,566品目、平均値上げ率は11%でした。

また、2026年6月1日時点で、年内に値上げが判明した飲食料品は少なくとも1万1,157品目。同社は年間で1万5,000~2万品目台に達する可能性も示しています。

9月にも、メーカー各社が価格改定を予定しています。例えば、キッコーマンは一部商品を5~9%、明治は一部の栄養食品を約5~10%、関連商品の一部を約8~20%値上げすると発表しています。エスビー食品でも、一部の家庭用商品で平均約10%の値上げが予定されています。

すべての食品が一律に値上がりするわけではありません。しかし、減税幅を上回る価格改定がすでに一部商品で予定されていることは、見逃せない事実です。

いくら値上げされたら減税効果が消えるのか

本体価格1,000円の商品で考えてみましょう。

条件 税込価格
現在:本体1,000円・税率8% 1,080円
5%値上げ・税率1% 約1,061円
7%値上げ・税率1% 減税効果が消える境目 約1,081円
10%値上げ・税率1% 1,111円 ↑
15%値上げ・税率1% 約1,162円 ↑
20%値上げ・税率1% 1,212円 ↑

青・緑=現在より安い / 黄=ほぼ相殺 / 赤=現在より高い

本体価格の値上げが約6.93%を超えると、税率が1%になっても税込価格は現在より高くなります。

つまり、5%程度の値上げなら減税後は少し安くなります。しかし7%前後で減税効果はほぼ消え、10%や15%値上げされた商品は、消費税が1%になっても現在より高くなるのです。

一度上がった食品価格は、なぜ下がりにくいのか

「原材料価格が下がれば、商品も元の値段に戻るのでは?」と思う人もいるでしょう。

しかし、食品価格を決める費用は原材料費だけではありません。

原材料だけではない
商品価格を押し上げる6つのコスト
👷人件費工場・店舗で働く人
🚚物流・燃料費配送と燃料の負担
電気・ガス代製造・冷蔵・店舗照明
📦容器・包装資材容器・袋・段ボール
⚙️設備維持・更新費工場・冷蔵設備の維持
🏪賃料・システム費店舗賃料・レジシステム
6つの負担増 → 商品価格へ
  • 工場や店舗で働く人の人件費
  • 商品を運ぶための物流費と燃料費
  • 電気代やガス代
  • 容器や包装資材の費用
  • 設備の維持・更新費
  • 店舗の賃料やシステム費用

一部の原材料が安くなっても、ほかの費用が上がっていれば、メーカーやスーパーが販売価格を元へ戻すとは限りません。

企業側から見れば、一度値下げした後にコストが再上昇すれば、もう一度消費者へ値上げをお願いしなければなりません。そのため、値下げより価格を維持し、将来のコスト上昇へ備える判断をする可能性があります。

私たちも値上げに慣れ始めている

1リットル186円を表示するガソリンスタンドの価格看板イメージ
ガソリン価格の表示イメージ

数年前なら、数十円の値上げでも大きなニュースになりました。

ところが、食品、電気、ガソリン、外食など、身の回りのあらゆるものが値上がりし、「また値上げか」「コストが上がっているなら仕方がない」という反応も増えています。

もちろん、消費者が値上げに納得しているわけではありません。ただ、値上げ自体には以前ほど驚かなくなっています。

私は、この消費者心理の変化も、企業が価格改定に踏み切りやすくなる一因だと考えています。これは企業が不当に利益を得ているという意味ではありません。価格を上げても市場から直ちに拒絶されにくい環境になった、ということです。

減税は「本体価格を7%下げる命令」ではない

消費税率が下がることと、商品の本体価格が下がることは別です。

メーカーや小売店は、仕入価格、運営費、競争状況、需要、利益などを考えて本体価格を決めます。減税によって税金部分は小さくなりますが、同じ時期に本体価格が上がれば、消費者が感じる値下げ幅は小さくなります。

したがって、「消費税が8%から1%になるから、スーパーの商品がそのまま7%安くなる」と期待するのは危険です。

2年後、本当に1%から8%へ戻せるのか

家計簿とレシートを確認しながら、テレビの国会審議で示された2年後の税率1%から8%への復帰を見る生活者
暮らしと国会審議のイメージ

私がもう一つ疑問に感じているのは、2年間の減税期間が終わった後、本当に税率を1%から8%へ戻せるのかという点です。

税率を1%から8%へ戻すと、本体価格が同じでも税込価格は約6.9%上昇します。

現在、本体価格1,000円、税込1,080円の商品が、減税開始時までに10%値上がりしたと仮定します。税率1%なら税込価格は1,111円です。その後、本体価格が1,100円のまま税率を8%へ戻すと、税込価格は1,188円になります。

減税後と税率復帰後の価格シミュレーション
時点 本体価格 税率 税込価格
現在 1,000円 8% 1,080円
減税開始10%値上げ後 1,100円 1% 1,111円
負担増2年後に税率復帰 1,100円 8% 1,188円現在より108円高い
物価上昇後に税率が戻ると、税込価格への影響が大きくなります。

問題は、減税期間の2年間にも物価が上がる可能性があることです。原材料費、物流費、人件費、電気代、金利、円相場がどう動くかは分かりません。少なくとも、食品本体の価格が2年間まったく変わらないと考えるのは楽観的でしょう。

本体価格が上がったところへ、消費税率を1%から8%へ戻す。そうなれば、消費者は「物価上昇」と「減税終了」の二重の負担を受けます。

私は、制度上は2年間とされていても、予定どおり8%へ戻すのは政治的に難しくなると予想しています。延長、段階的な引上げ、別の給付措置などを求める声が強まるかもしれません。

私たちが確認すべきなのは税率ではなくレシート

食卓に開かれた家計簿とレシート。月ごとの食費が増えているイメージ
毎月の食費とレシートを確認する家計のイメージ

消費税の減税には意味があります。減税がなければ、家計負担はさらに重くなるからです。

ただし、大切なのは「税率が何%になったか」ではありません。「最終的にレジでいくら払ったか」です。

  • よく買う商品の税込価格を記録する
  • 100グラム・1個当たりの価格を比べる
  • メーカー品とPB商品を比較する
  • 価格だけでなく内容量の減少にも注意する
  • 減税終了後の負担も想定して家計を組む

減税の本当の効果は、政府が発表する税率の数字ではなく、2027年4月以降のレシートで判断する必要があります。

まとめ

食料品の消費税率が8%から1%へ下がっても、すべての商品が安くなるとは限りません。

本体価格が約7%上がれば減税効果はほぼ消え、10%や15%値上げされた商品では、減税後も現在より高くなります。

さらに注目すべきなのは、減税が始まる2027年4月だけではありません。税率を1%から8%へ戻す予定の2年後です。

値上げ後の本体価格へ再び8%の税率をかけることができるのか。私は、予定どおり元へ戻すことは政治的に難しくなると見ています。

「何%になったか」より、「レジでいくら払ったか」。

参考資料

※本記事は2026年8月9日時点で確認できる公表情報と、筆者による価格推移・政策運営についての予想を分けて記載しています。実際の対象品目や制度の詳細は、施行時の法令・政府発表をご確認ください。

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