導入|会社員は普通に働いているだけでお金持ちになれるのか?
日本の会社員が一生で稼げる金額には、ある程度の上限があります。
生涯年収は大きな金額に見えますが、それは40年前後働いて稼ぐ総額です。
| 大学卒の生涯収入 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 60歳までの生涯賃金 | 約2億6,280万円 | 約2億990万円 |
| 退職金 | 約1,840万円 | 約1,840万円 |
| 引退までの生涯収入 | 約3億3,950万円 | 約2億6,720万円 |
※大学卒業後すぐに就職し、60歳までフルタイム正社員として働くケース。 「引退までの生涯収入」は、60歳時の退職金と、その後平均的な引退年齢まで フルタイムの非正社員として働いた収入を含みます。 出典:労働政策研究・研修機構(JILPT)「ユースフル労働統計2025」
そこから税金や社会保険料を払い、さらに住居費、食費、教育費などの生活費も必要になります。
給料が増えれば税金や社会保険料の負担も大きくなります。
会社員の場合は給料から税金などが源泉徴収されるため、「稼いだ金額=自由に使えるお金」ではありません。
では、会社員が人並み以上のお金持ちになるには、どうすればいいのでしょうか?
会社員がお金持ちになる「3つのルート」を考えてみた
① 出世して上場企業の役員になる
下の3人は創業者ではありません。 会社員としてキャリアを積み、巨大企業のトップまで上り詰めた人たちです。
| 企業・氏名 | 経歴 | 連結報酬等総額 |
|---|---|---|
|
三菱商事 中西 勝也 氏 |
1985年入社 → 社長 |
10億600万円 |
|
トヨタ自動車 佐藤 恒治 氏 |
1992年入社 → 社長 |
8億2,600万円 |
|
日立製作所 小島 啓二 氏 |
日立グループでキャリア → 社長 |
6億9,100万円 |
※いずれも創業者ではなく、企業・グループ内でキャリアを積んでトップに就いた例です。 報酬額は各社の公開資料に記載された連結報酬等総額で、固定報酬のほか賞与・株式報酬などを含みます。
給料を大幅に増やす、最も分かりやすい方法です。
一般社員から管理職、さらに役員まで上がれば、収入の桁が変わる可能性があります。
ただし、誰にでも再現できる方法ではありません。
そもそも役員になれる人数は限られています。
② ベンチャー企業に入り、ストックオプションを狙う

「ベンチャー企業」と聞くと、これから流行する商品を開発していたり、優秀な人たちが集まって最先端の研究をしていたりする会社を想像する人もいるかもしれません。
でも、必ずしもそんな会社ばかりではありません。
簡単に言えば、まだ規模は小さいけれど、新しい商品やサービス、仕組みなどで大きな成長を目指している会社です。
今では誰もが知っている楽天も、最初から大企業だったわけではありません。
楽天市場がスタートしたのは1997年。
最初の出店数は、わずか13店舗でした。
当時はインターネットで買い物をすること自体が珍しく、「ネットで物なんて売れない」と言われていた時代です。
創業当初は利用者も少なく、三木谷浩史氏や当時のスタッフが自分たちで商品を購入したり、知人に買ってもらったりしていたというエピソードも残っています。
今の楽天からは想像しにくいですが、ベンチャー企業とは、こうした「まだ成功するかどうか分からない小さな会社」でもあります。
だからこそ、そこで働く人にもチャンスがあります。
その一つが、ストックオプションです。
ストックオプションとは、会社の株をあらかじめ決められた価格で購入できる権利です。
たとえば、まだ会社が小さく株の価値が低い時期に入社し、ストックオプションをもらったとします。
その会社が楽天やメルカリのように大きく成長し、株式市場へ上場する。
そして株価が大きく上昇すれば、会社員でありながら株によって大きな資産を築ける可能性があります。
つまり、
「まだ誰も知らない会社に早く入る」
↓
「会社と一緒に成長する」
↓
「会社が上場する」
↓
「ストックオプションが大きな資産になる」
という方法です。
もちろん、こんなにうまくいく会社はごく一部です。
楽天やメルカリのようになる会社がある一方で、思ったように成長できず、上場することなく消えていく会社もあります。
給料の高い大企業に入るのとは違い、
「今の会社の大きさではなく、この会社が将来どうなるかに賭ける」
これも、サラリーマンがお金持ちになる一つの方法だと思います。

最近では、SpaceXが分かりやすい例です。創業者や役員だけではなく、早い時期から働いていた技術者や一般社員にも株式が与えられ、2026年の上場によって、現役・元従業員の約4,400人がミリオネアになったと推計されています。
③ そして、もう一つの「裏ルート」がある
ここからは少し違う話です。
キックバックです。
キックバックという「簡単にお金が入ってくる仕組み」
芸能界だけの話ではない
橘玲さんの著書でも、キックバックについて触れられていました。
たとえば、大きな仕事を発注する立場の人に対して、仕事を受注した側からお金が戻される。
仮に5,000万円の仕事を発注し、その5%が戻ってくるとすれば250万円です。

給料とは別に、これだけのお金が入ってきます。
しかし、これは芸能界だけの特殊な話ではありません。
私が仕事をしてきた冠婚葬祭の世界でも、似たような話はありました。
冠婚葬祭にもあったキックバック

その中でも、私が一番分かりやすいと感じたのが、お寺さんへのお布施でした。
最近では、葬儀社も業務のシステム化や管理体制が進み、このようなキックバックは少なくなってきました。
しかし、少し前までは業界の慣習として根強く残っていたのも事実です。
ご遺族に付き合いのあるお寺さんがない場合、葬儀社の担当者がお寺さんを紹介することがあります。
たとえば、ご遺族からお布施として25万円を受け取ったとします。
そのうち5万円が「紹介料」として、葬儀担当者に戻ってくる。

もちろん金額や仕組みはお寺さんによって違いますが、担当者にとってはかなり大きな収入になります。
さらに葬儀が終わったあとも、位牌や仏壇などを提携する仏壇店に紹介すれば、1万円〜1万5,000円程度の紹介料が入ることもありました。
つまり、葬儀そのものだけではなく、
お寺の紹介 → 位牌 → 仏壇
と、紹介するたびに担当者へお金が戻ってくる仕組みがあったのです。
少なくとも私がこの業界で仕事をしていた頃は、こうした慣習を目にすることがありました。
今とは事情が違う部分もあると思いますが、このような不透明なお金の流れが存在していたことも、葬儀業界がかつて「ぼったくり商売」と言われてしまった理由の一つなのかもしれません。
結婚式でもありました。
ウェディングドレスなど相場20万円程度の商品を25万円で販売する。
そして、その商品をお客様に勧めてくれた担当者に、業者から数万円を渡す。
業者は高い商品が売れる。
担当者にもお金が入る。
一見すると、両者にとって都合のいい関係です。
しかし、その上乗せされたお金を最終的に負担しているのは誰でしょうか。
お客様です。
葬儀でも、生花、料理、返礼品など、さまざまな商品で似た構造が生まれることがあります。
建築、広告、メディア、冠婚葬祭など、担当者の判断によって大きなお金が動く業界ほど、こうした誘惑が生まれやすいのかもしれません。
ところが、キックバックを求める人がお金持ちになった姿を私は見たことがない
私は仕事をしてきた中で、こうしたお金を求める人を見てきました。
そこで不思議に思ったことがあります。
簡単にお金を手にしているはずなのに、裕福になった人をほとんど見たことがありません。
むしろ、そのお金がギャンブル、酒、夜の店、高級車、ブランド品などに消えていくケースが目立ちました。
そして、仕事そのものも長続きしません。
「仕事で稼ぐ」から「仕事から抜く」に変わってしまう
最初は、

「良い仕事をして給料を増やしたい」
だったはずです。
ところが、一度簡単に入ってくるお金を覚えてしまうと、

「この仕事を発注したら、自分にいくら戻ってくるのか?」
という考え方に変わっていく。
私はここが一番怖いところだと思います。
「働いてお金を稼ぐ」という感覚から、「動くお金の中から自分の分を抜く」という感覚に変わってしまうからです。
良い会社ではなく「自分にお金をくれる会社」を選び始める
本来、取引先を選ぶなら、
こうした条件から、自分の会社にとって最も良い業者を選ぶべきです。
ところがキックバックを受け取るようになると、会社にとって一番良い取引先ではなく、「自分にとって一番おいしい取引先」を選ぶようになります。
転職した会社でも、

「私が知っている業者のほうが安くて融通も利きます」
などと言って既存業者を切らせ、自分と関係のある業者を入れる。
最初は人脈があり、仕事のできる人に見えるかもしれません。
しかし、目的が会社の利益ではなく自分への還流であれば、いずれどこかで歪みが出ます。
そして会社を転々とする
私が見てきた中では、このタイプの人には共通点がありました。
一つの会社に長くいないことです。
- 問題が表面化する。
- 会社に居づらくなる。
- 担当を外される。
- 信用を失う。
- そして退職する。
別の会社へ移り、また同じようなことを始める。
これを繰り返していけば、狭い業界では「悪い意味での有名人」になってしまいます。
なぜ会社は大きな問題にしないことがあるのか
これはあくまで私が見聞きした範囲での話です。
不正を見つけた会社が、必ずしも大きな問題にするとは限りません。
問題を公にすれば、

「なぜ会社は今まで気づかなかったのか?」
「管理体制はどうなっていたのか?」
という話にもなります。
本人に返金を求めようとしても、すでにギャンブルや遊びなどで使ってしまい、お金が残っていない場合もあります。
さらに、不正をした人物を再び取引担当にするわけにもいきません。
他の社員に同じ方法が広がることも会社としては避けたいでしょう。
結果として、

「過去のお金より、とにかく会社から離れてほしい」
という形で終わるケースもあります。
泡銭は資産になりにくい
簡単に手に入った250万円。
何年も働き、節約して貯めた250万円。
数字だけを見れば、どちらも同じ250万円です。
しかし、本人が感じるお金の重さは同じでしょうか。
「なくなったら、また大きな仕事を取ればいい」
「またキックバックをもらえばいい」
そう考えるようになれば、お金を守ろうという感覚も薄れていきます。
収入は増えているのに、資産は増えない。
私が見てきた人たちは、まさにそんな状態でした。
結局、普通のサラリーマンがお金持ちになる方法は地味だった
会社員がお金持ちになる一発逆転の方法として、
出世して役員になる。
ベンチャー企業に入り、ストックオプションを得る。
こうした方法は確かにあります。
しかし、どちらも誰にでもできる方法ではありません。
そして、裏ルートともいえるキックバックは、少なくとも私が見てきた人たちに関していえば、資産形成どころか人生そのものを崩す方向へ進んでいました。
では、普通の会社員はどうするのか。
答えは恐ろしく地味です。
みんなと同じことをしていたら、みんなと同じところに着く
みんなが帰るときに、必要ならもう少し働く。
みんなが休んでいる時間に副業する。
みんなが給料を使っているときに貯める。
みんなが高級車や高級品を買っているときに投資する。
給料が増えても、すぐに生活水準を上げない。
そして、それを長く続ける。
周囲と同じ給料をもらい、
周囲と同じようにお金を使い、
周囲と同じように働いていたら、
資産もだいたい周囲と同じになります。
普通の会社員が人並み以上の資産を築こうと思ったら、どこかで人と違うことをしなければならない。
私はそう思います。
まとめ|近道に見える道ほど遠回りになることがある
会社員がお金持ちになる方法を考えていくと、派手な方法はいくつもあります。
役員になる。
ストックオプションで大きな利益を得る。
そして世の中には、表には出てこない「お金の取り方」もあります。
でも、私が長く仕事をしてきて感じるのは、
簡単に手に入るお金ほど、その人をお金持ちにしてくれるとは限らないということです。
むしろ最後に資産を残しているのは、
普通に働き、
収入より少ない金額で暮らし、
余ったお金を投資し、
それを何年も続けた人なのかもしれません。
サラリーマンがお金持ちになる方法。
結局のところ、それは裏技ではなく、
「人と違うことを、地味に長く続けること」
なのだと思います。
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