老後資金はいくら必要なのか。
この言葉を聞くと、多くの人はまず「老後2000万円問題」を思い浮かべるかもしれません。
私の両親も、テレビで何度も聞いた「老後には2000万円が必要」という言葉を強く意識していました。
食費や通信費をできるだけ削り、かなりミニマムな生活をしていました。
実際には、67歳の時点で2000万円ほどの貯蓄がありました。
ただ、個人事業主だったため、夫婦2人合わせても年金は月12万円ほど。
それでも生活費は月10万円ほどだったので、年金だけでも少しお釣りがくる生活でした。
普通に考えれば、「それなら少しは使っても大丈夫」と思うかもしれません。
でも両親は、なかなかお金を使えませんでした。

「何歳まで生きるかわからない」
「施設に入ることになったら、いくら必要かわからない」
「病気になったらどうするのか」
そう考えると、たとえ2000万円あっても、安心して使うことができなかったのです。
この姿を見て、私は思いました。

老後のお金の不安は、貯金額だけでは消えないのだと。
たとえ2000万円あっても、年金でどこまで暮らせるのか、あといくらあれば足りるのかが見えていなければ、安心してお金を使うことはできません。
自分にあといくら必要なのかが見えていないこと
にあると思います。
たとえば、下の画像のように考えるとわかりやすいです。

たとえば、65歳で現役を引退し、95歳まで生きると考えると、老後期間は30年です。
30年は360か月なので、360万円の貯金があれば、単純計算では毎月1万円ずつ生活費に上乗せできます。
つまり、老後資金は大きな金額で見るよりも、
「毎月いくら年金に足せるのか」
で考えた方が、ずっと現実的になります。
2000万円と聞くと、大きすぎて不安になります。
でも、毎月の生活費に直して考えると、見え方が変わります。
💡 老後資金を30年で使うと、毎月いくら使える?
| 貯金額 | 30年間で使える金額 |
|---|---|
| 360万円 | 毎月1万円 |
| 1800万円 | 毎月5万円 |
| 3600万円 | 毎月10万円 |
つまり、貯金1800万円は「ただの大きな数字」ではなく、30年間で考えると、 年金に毎月5万円を上乗せできるお金です。
もちろん、ここでは老人ホームや介護施設の費用まで細かく計算しているわけではありません。
施設費用や介護にかかるお金は、本人の要支援・要介護の状態、入る施設の種類、地域によって大きく変わります。
ただ、最初からそこまで細かく考えすぎると、老後資金の話は一気に難しくなります。
まずは、年金と毎月の生活費の差を見る。
そのうえで、介護や施設のお金は別枠で考える。
この順番でよいと思います。
介護保険や要支援・要介護で使える制度については、別の記事で詳しくまとめています。

老後2000万円問題が、そのまま自分に当てはまるとは限らない

以前、「老後には2000万円が必要」という話が大きく話題になりました。
この言葉だけを聞くと、多くの人は、

「自分も2000万円貯めないと老後は危ないのではないか」
と思ってしまうかもしれません。
もちろん、老後にお金があるに越したことはありません。
貯金が多ければ、病気や介護、急な出費にも対応しやすくなります。
ですが、
すべての人に同じように2000万円が必要とは限りません。
老後に必要なお金は、その人の暮らし方によって大きく変わります。
たとえば、
これらで必要額はかなり変わります。
つまり、
老後資金は“世間の平均”で決めるものではなく、“自分の不足額”で考えるもの
です。
まず考えるべきは「年金+あと毎月いくら必要か」

老後のお金を考えるとき、最初にやるべきことはシンプルです。
年金で足りない分が、毎月いくらかを出すこと。
ここが出ていないと、必要な老後資金の総額も見えてきません。
たとえば、
- 年金が月12万円で、老後の生活費が月17万円必要
なら、毎月5万円不足です。💡
この「毎月5万円不足」を土台にすると、
というふうに、おおよその必要額が見えてきます。
老後の不安は、金額が見えていないほど大きくなります。
でも、毎月の不足額がわかれば、必要な総額も、今からやるべき準備も見えやすくなります。
平均余命を目安にすると、必要額はざっくり計算できる
65歳から先、あと何年くらい生きる想定で老後資金を考えるかを下の令和6年簡易生命表の概況のデータを元に見ていきます。
厚生労働省の「主な年齢の平均余命」は、その年齢まで生きた人が、あと何年くらい生きる見込みかを示した数字です。たとえば60歳の男性なら、平均で83歳5か月くらいまで生きる見込みになります。
| 現在の年齢 | 男性の平均余命 | 男性は平均何歳くらいまで生きる見込みか | 女性の平均余命 | 女性は平均何歳くらいまで生きる見込みか |
|---|---|---|---|---|
| 40歳 | 42.03年 | 82.03歳 | 47.88年 | 87.88歳 |
| 45歳 | 37.26年 | 82.26歳 | 43.03年 | 88.03歳 |
| 50歳 | 32.57年 | 82.57歳 | 38.24年 | 88.24歳 |
| 55歳 | 28.01年 | 83.01歳 | 33.54年 | 88.54歳 |
| 60歳 | 23.63年 | 83.63歳 | 28.92年 | 88.92歳 |
| 65歳 | 19.47年 | 84.47歳 | 24.38年 | 89.38歳 |
| 70歳 | 15.60年 | 85.60歳 | 19.97年 | 89.97歳 |
| 75歳 | 12.08年 | 87.08歳 | 15.75年 | 90.75歳 |
| 80歳 | 8.96年 | 88.96歳 | 11.83年 | 91.83歳 |
| 85歳 | 6.31年 | 91.31歳 | 8.37年 | 93.37歳 |
| 90歳 | 4.27年 | 94.27歳 | 5.55年 | 95.55歳 |
小数点がついていて少し見にくいですが、82.57歳なら82歳半くらいまで、大まかに見てください。
たとえば、65歳時点の平均余命をもとにすると、
- 👴 男性はあと約19.47年余命=84歳ごろまで
- 👵 女性はあと約24.38年余命=89歳ごろまで
をひとつの目安にできます。
もちろん、これは平均なので、これより長く生きる人も短い人もいます。
ですが、老後資金の計画を立てるうえでは、こうした平均余命を目安にするだけでも十分役立ちます。

たとえば女性で、65歳から先に毎月5万円不足すると考えるなら、
5万円 × 12か月 × 約25年 = 約1500万円
です。
こうしてみると、老後資金の考え方はかなりシンプルです。
年金だけで足りない分を、何年分用意するか。
まずはここを知ることが大切です。
2000万円あっても、安心して使えなかった両親

私の両親は、老後の不安から2000万円を目標にして貯蓄していました。
ですが、両親の生活状況や資産、年金額、そして平均余命などをあらためて整理してみると、そこまで大きな金額が必要な家庭ではなかったように思います。
たとえば、
💡 老後になると、意外と減る支出もある
という状況でした。
そう考えると、両親は「老後2000万円」という世間の数字に引っ張られすぎて、
本当はそこまで働かなくてもよかった可能性があります。
実際、老後資金の不安から、70歳手前まで仕事を続けていました。
今思えば、年金額、生活費、持ち家かどうか、そして平均余命をもとに、
その家庭に必要な老後資金をもっと早く計算できていれば、もう少し楽な人生にできたかもしれない
と感じます。
これは、ただの金額の話ではありません。
数字が見えていない不安は、人を必要以上に働かせてしまうことがある。
そして、「自分たちにはこれだけあれば大丈夫」と見えていないと、老後に入ってからもお金の不安を引きずり続けてしまいます。
私はそこに、とても大きな問題があると思っています。
老後の不足分は、NISAで準備するという考え方もある
では、年金だけでは足りない分を、どうやって用意すればいいのでしょうか。
方法はいくつかあります。
💡 年金だけで足りない分を用意する方法
近いうちに使うお金は、現金で持っておくと安心です。
月に数万円でも収入があると、取り崩す金額を減らせます。
固定費を下げると、老後に必要な資金も少なくなります。
すぐに使わないお金は、低コストのインデックスファンドで育てる考え方もあります。
どれかひとつに決めるというより、自分の生活に合わせて組み合わせることが大切だと思います。
その中でも、これから老後資金を準備する人にとって、比較的わかりやすい方法のひとつが、
NISAを使ったインデックス投資
です。
ただし、老後資金をすべてNISAに入れればいい、という話ではありません。
ここはかなり大事です。
老後に入ってから、近いうちに使う予定のお金まで投資に回してしまうと、相場が大きく下がったときに困ります。
必要なときに資産が減っていて、安いところで売らなければならない可能性があるからです。
そのため、私なら、
5年以内に使う予定のお金は現金で残す
という考え方を大事にします。
生活費、医療費、家の修繕費、介護や施設に備えるお金など、近いうちに使う可能性がある資金は、無理に投資に回さない方が安心です。
そのうえで、すぐには使わないお金を、NISAで低コストのインデックスファンドに投資する。
この順番が現実的だと思います。
NISAで長期積立を考えるなら、複利の力を知っておくと、長く続ける意味がわかりやすくなります。

「不足分として2000万円必要」なら、逆算して積立額を考えればいい
たとえば、老後の不足分として、
2000万円を用意したい
とします。
2000万円という数字だけを見ると、かなり大きく感じます。
ですが、ここで大事なのは、ただ不安になることではありません。
その2000万円を、何年かけて作るのか。
毎月いくら積み立てればいいのか。
ここまで逆算すると、老後資金はかなり現実的になります。
年利7%をひとつの目安として長期運用できたと仮定すると、NISAでの積立では次のようなイメージになります。

老後資金は、不安になるためではなく、見通しを立てるために考える
老後のお金の話になると、多くの人は不安ばかり大きくなります。
ですが本来、老後資金を考える意味は、ただ怖がることではありません。
自分に必要な金額を知って、見通しを立てること。
これが本来の目的です。
- 年金はいくらもらえそうか
- 老後の生活費はいくらになりそうか
- 毎月の不足はいくらか
- それが何年続くか
- 不足分をどう準備するか
ここまで整理できれば、老後のお金は「よくわからない不安」ではなくなります。

65歳時点で資産が720万円あったなら、年金に毎月2万円を上乗せして使える!
完璧な予測はできなくても、ざっくり計算するだけで、「お金の不安が少なくなって」見える景色はかなり変わります。
まとめ
老後資金は、「老後2000万円必要」というような大きな数字だけで考えると、かえって不安が強くなります。
でも、本当に大事なのは、
自分の年金にあといくら必要なのか
を知ることです。
毎月の不足額がわかれば、必要な総額も見えてきます。
そして、使ってもよいお金と、残しておいた方がよいお金も見えてきます。
さらに、その不足分をNISAの積立でどう準備するかまで逆算できれば、やるべきことはかなりはっきりします。

私の親は、老後のお金の不安から、かなり節約して貯蓄に励んでいました。
今思えば、まるで「欲しがりません、死ぬまでは」というくらいの勢いでした。
その結果、2000万円あっても、なかなかお金を使えない夫婦になっていたように思います。
そして、これからお金がどれほど必要か?何に使うか?を一緒に教えたというか学んだと言うか、そんなこんなでやっと

え?足りるの!?安心するわー
そんなんでやっと、家族で居酒屋くらいには行けるところまで改善しました。自分で稼いだお金です。息子たちに残すことより自分の幸せにお金を使って欲しいですね!
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